本の置き方と置く場所と

 本を買うのにはお金がかかる。お金もかかるが、置く場所も必要になる。置く場所を確保しようと思えば、それはそれでお金がかかる。もしくは、生活スペースの圧迫に我慢する必要が出てくる。
 すべての本を、背もしくは表紙が見える状態で並べるのが理想だ。できることであれば、本の後ろに本を置いたり、ましてや外からは見えない場所(箱の中など)にしまいたくはない。とはいえ本棚を置ける場所にも限りがあって、わが家も多くの本を本の後ろに並べている。
 本を前後に並べる場合、高さが同じだと後ろの本はタイトルが見えなくなる。なるべく後ろに置く本より前に置く本は背の低いものを選ぶわけだが、なかなかそう単純にもいかない。都合よくその棚に並べるべき背の低い本があるとは限らないし、ものによっては文庫本の背に合わせた棚設計になっている本棚もあり、背の低い本はそちらに入れた方がより効率よく本を並べることができる。
 そこで、本の後ろに置く本は、上げ底をしてタイトルが見えやすいようにしている。上げ底に使うのは、たとえば空いたティッシュの箱だったり、使っていない何らかのケースだったりする。
 この上げ底作戦を思いついたときは、われながら画期的だと思った。これにより本を前後に並べることへの不満は軽減された。単純に置く本の数が二倍になるので、重量の問題が不安といえば不安ではあるけれど、ひとまずそれは考えないことにする。

 歩いて30分ぐらいのところに、秘密の書庫と呼んでいる場所があり、そこにもある程度の数の本を置いている。これは実に幸運なケースだと思う。本は重いし、途中に勾配のきつい坂があるので、なかなか頻繁に入れ替えをすることはできないが、それでもいざとなればどうにでもできるというのは心強い。
 一番いいのは自宅の中に持っているすべての本を所蔵すること。次点で徒歩5分ぐらいのところに書庫として使える部屋を用意すること(そりゃ自分用のでかい書庫を建設できたら一番ではあるけれど、現実的な話として)。
 でもそれらにはどうしたって先立つ物が必要になるから、できるだけいろんな工夫をすることが必要だ。腕の見せ所でもある。

─── 本を買わなきゃいいんじゃない?

 そう思ったあなた。
 それとこれとは話が別です。