1月25日-26日|『水木しげる漫画大全集』を読む日々 vol.016

 久しぶりに徹夜をした。

 普段、夜ふかしはしても夜は明かさないので、本当にいつ以来かわからない。

 日記本第4巻の入稿の締切が迫っていたためで、特別厳しいスケジュールにしたつもりはなかったが、日頃のスローモーな始動と、初出からの手直しや再構成がこれまでと比べてはるかに多かったため、かなりギリギリな進行になってしまった。

 朝6時に布団に潜り込み、興奮のために一時間ほど本を読む。入稿の日はいつだって気が立って眠れない。『ニューヨークで考え中』の3巻。今年になって日記本に本格的に取り組んでいた期間に、既刊の3冊を一気に読んだ。それは毎日の眠る前の、心安らぐ時間だった。

 二時間足らずで起きて、予定していた荷物が早めに届いたので、ふたたび眠ってもよかったが、目が覚めたのでまた本を持ってくる。『詰むや、詰まざるや 森・西武vs野村・ヤクルトの2年間』。92年と93年に繰り広げられた、西武ライオンズとヤクルトスワローズの日本シリーズ14戦を追ったノンフィクション。過去幾度となく語られてきた伝説とも言える日本シリーズだが、長谷川晶一さんの手にかかったものとなれば、読まないわけにはいかない。僕は氏の『最弱球団 高橋ユニオンズ青春記』によって、スポーツノンフィクションのおもしろさを知った。

 眠気が来たら寝ようと思って読みはじめたが、その眠気は来なかった。二時間半ほどが経ち、正午になって、体のことが心配になって本を置いた。眠気が来ないからといって、眠らなくていいはずはないのだ。それでもまた二時間足らずで目が覚めて、そこから枕元にあった本を最後まで読んだ。


 徹夜はやはりよくない。

 少なくとも、日頃から多めの睡眠を体が欲している僕にとっては、代償が大きすぎる。体へのダメージが大きすぎる。

 一夜の眠りを経て、体調はだいぶ回復した。

 けれども、徹夜前日の記憶が、ほとんどない。つまり、日曜日のことをあらかた忘れてしまっている。手応えは残っていても、具体的な記憶がなければ不安なものだ。

 水木しげるは睡眠をとりわけ大切にした人物として知られる。朝は寝床でグーグーグーだ。

 あるとき、徹夜二日目、三日目という手塚・石ノ森両氏に向かって、水木センセイは「自分はどんなに忙しくても十時間は寝ています」と言い、「アンタら睡眠をバカにしちゃあいけませんョ」と続け、こう高らかに発する。「眠っている時間分だけ長生きするんです/幸せなんかも"睡眠力"から湧いてくる/"睡眠力"こそが全ての源ですッ!!」(*1)

 わかっちゃいるけど……と思っていたけれど、寝不足時の心身の挙動や、徹夜明けの意識の不明瞭さを考えると、そろそろ切実なものとしてとらえないといけないのだ、睡眠力を鍛えないといけないのだと、強く感じる。本当に、差し迫ったものとして。


*1:「睡眠のチカラ」(『水木しげる漫画大全集 102』所収)