2月15日|『水木しげる漫画大全集』を読む日々 vol.025

 山を登ったと思ったら稜線が続いていて、尾根伝いに進むとまた山が現れる。そういう日々が続いて一段落をする時間もないけれど、『日々ノ声』が出来上がって、ひとまずはほっとしている。

 一つの作業に没頭すると、身の回りが散らかるのは常で、作業から作業への区切りとして、片付けをする時間を確保するようにしている。性格として同じ机では続けて作業できず、とはいえ何個も机があるわけではないので、いったん「さら」の状態にすることで、気持ちを切り替えている。


 次に向かうルート、候補は二つあって、一つは〈編集山ルート〉。もう一つは、まっすぐ目の前に見えている〈日記本山ルート〉。実は〈編集山ルート〉の方は、昨年の夏から登るべきルートとして課題となっていたが、早くも半年が経ってしまった。というわけで本来ならそちらを先にとなるところだが、今回はこのまま〈日記本山ルート〉に進もうと思う。〈編集山ルート〉のさらに先には、すでに別の山が見えているという事情がある。

 ところで、世の中には二足のわらじどころか、三足のわらじ、さらにはそれ以上と、精力的に働く人がいるけれど、そのハツラツぶりにはいつも感嘆してしまう。

 スーパーファミコンの『がんばれゴエモン~ゆき姫救出絵巻~』というゲームでは、プレイヤーは最大10個のわらじを履くことができて、わらじの数が増えるほどキャラクターのスピードやジャンプ力が増す。しかし現実は(というか僕は)、わらじを履けば履くほどスピードは落ちるし息切れしやすくなる。山は一つずつ攻略するほかない。

 でも一度ぐらい、巨大になって山をひとまたぎする、そんなスーパーストロングな体験をしてみたい、そんなことも思う。そこからはどういうふうに景色が見えるのだろう。この〈日記本山〉と〈編集山〉の向こうには、どういう景色が広がっているのだろう。没頭しているときはそんなことを考える余裕がないけれど、いつか一段落できたら、振り返ったり、前を見たり、景色を眺める時間をとりたいと思う。