4月11日|『水木しげる漫画大全集』を読む日々 vol.043

 『水木しげる漫画大全集』は、ついに貸本戦記パートが終わった。この次は『ガロ』の前身ともいえる『忍法秘話』掲載の短編を挟み、いよいよ「鬼太郎」パートに突入する。ちなみに鬼太郎は全集の22巻から46巻を占める。スゴイネ。

 ところで、その『忍法秘話』掲載作品が載った通巻021は、『水木しげる漫画大全集』の最初の刊行を飾った巻でもある。月報を読む限りでは、この第一回の刊行時点(少なくとも月報制作時点)では、全部で何巻になるか未定だったらしい。

 この第一期の第一回配本から五年後の刊行となった最終巻(通巻103)の巻末には、全集の監修を行った京極夏彦氏の解説が掲載されているが、この壮絶かつ感動的でさえある刊行秘話は一読に値する。「全集」を編む心構えから、「水木しげる全集」を作ることの難しさ、そして講談社からのアクロバティックな(言い換えればムチャクチャな)刊行決定までの経緯……。この最終巻を読むのはおそらく(順調にいけば)今年の12月になるので、そのときに解説はまたじっくり読むとして、とにもかくにも第一回配本に選ばれたのは『忍法秘話』掲載作品だった。

 デビュー作の載った通巻001を読んだときにも感慨があったが、全集の初回配本の巻というのもまた別の感慨がある。この壮大にして微細な一大全集がここから始まったのだと思うと、「水木しげるの歴史」とともに「『水木しげる漫画大全集』の歴史」にも思いがゆく。そして、巻の順番に読めば、この第一回配本作品の次から「鬼太郎」が始まるというのも、心憎い演出のようにさえ感じられるのだ。