5月17日|『水木しげる漫画大全集』を読む日々 vol.051

 昨日は文学フリマでした。世が世なら行きたかったのですが(というか出たかったのですが)、世界が平和になったらということで……。

 フリーマーケット界隈のスラングで「戦利品」という言葉があります。要は「購入したもの」のことなのですが、文字通りの意味で捉えると、なかなか興味深いものがあります。

 戦利品とは、大辞林(第三版)では「戦争中、敵国から奪って自国の所有に移した動産。国際法上、敵国の国有財産に限定される。」ですが、広辞苑(第七版)はもっと直接的で、「戦争でぶんどった品物。ぶんどり品。敵から押収または抑留すると同時に、所有権取得の効果を認められる物品。」とあります。「ぶんどり品」というのがすごいですね。

 戦利品という場合、「敵」というのは元の所有者たる売り手ではなく、他の客、あるいは会場に来られなかった人、ということになりそうですが、そう考えると途端に血で血を洗う感じが出てくるから怖いですね。ま、どうでもいいことではありますが、こういうのがけっこう面白くなってしまうタチです。


 さて、イタリアでのベルナルのオフロードでの驚異的な走りと涙のグランツール初ステージ勝利から一夜が明けると、我が家のあたりは黒い雲がかかって南からの生暖かい風が強く吹いていました。たぶん一般的には嫌がられる天候なのですが、僕はこういう不穏な空気が何よりも好きです。幼き日、台風到来目前のような強風吹き荒れる中で両手を広げて風を浴びて、それを近所のおばさんに笑われているというのが、僕の最も古い時期の記憶の一つです。なかなか年季が入っています。

 こんな天気になるともう居ても立ってもいられず、仕事なんてほっぽり出して庭に出て風を浴びながら草取りに励むわけです。ねずみ男を前にした猫娘がいう「私はこれを我慢できない」というところです。

 とはいえ、その後、室内に戻ると、気温が異様に高く、マスクをしているので顔が熱くなって、5月でこれだと先が思いやられるわけですが。

 こう暑いとかえって熱い風呂が気持ちよくて、ローズマリーを入れた湯に浸かって、今シーズン初の冷房で空気を落ち着けた部屋で冷たいコーヒー牛乳を飲みながらサイクルロードレースなんかを見ていると、夏はいいなと思うから単純なものです。