6月13日|『水木しげる漫画大全集』を読む日々 vol.055

 20代前半の頃は、長期休みがありがたくなかった。当時、暦と関係なく動き続ける機械を相手にしていた仕事をしていて、僕が休みでも機械は動き続けていて、僕が休みでも機械に大きなトラブルがあればその対処をしなければいけなかった。休み明けに出社したら実はトラブってましたというのも困るが、休みの最中にトラブルを知らされるというのも困る。実際、社会人1年目の年末に機械が大きなトラブルを起こして、僕は帰省途中に立ち寄った京都で資料を見ながら現場とやりとりをした。資料は紙でしか出力できなかったので、そのとき僕はA4で100枚はあったと思われる紙の束を持ち歩いていた。もちろん現場も大変なんだけど、僕も大変だった。やがて不景気になって、年末年始まで機械を動かす必要がなくなり、僕も紙の束を持ち歩かなくてよくなかった。いいことのような、悪いことのような。

 今でも僕は、大型の連休があると、それによって困った立場に立たされている人がいるのだろうなと想像する。


 ゴールデンウィークや年末年始には、週刊誌がいわゆる「合併号」を出す。実質「一回休み」だ。

 意外なところで恩恵にあずかったのが今年のゴールデンウィークで、『ダイの大冒険』新装版の5月分の刊行が4月に前倒しになった。この新装版は毎月4日に出ていて、4日が土日祝日だった場合は直前の平日に前倒しされるので、結果、本来5月4日に発売されるものが、4月30日発売になった。たかが数日とはいえ、なんだかトクした気分だし、そのたかが数日でずいぶん苦しめられた身としては、このくらいのかわいい帳尻合わせは許されるだろう。

 『ダイの大冒険』新装版は6月分の刊行も終わり、残すは7月配本の3冊を残すのみになった。実を言うと5月配本の3冊(4月30日発売)を、僕は待ち望んでいて、バーンパレスでのポップ対シグマ戦、「化かしあいは…おれの勝ちだ」をもう一度見るために毎月の発売日に本屋へ向かったと言っても過言ではない。新装版でいうところの18巻は『ダイの大冒険』のピークで、ようやくこの巻にたどり着いたかと感慨深い。


 さて、6月配本も発売日(6月4日)に購入してその日のうちに読んだものの、その頃からふたたびずいぶんと忙しくなってしまった。買った本が机に積まれていく様というのは、なかなかに焦りを生むもので、特に判型が小さめの本が山の下に入ってしまうと、山全体のバランスが悪くなってしまうから、毎月4日過ぎというのは机の上が荒れやすい。

 家にいる週末ごとに机の上を片付けている気がするが、おそらくあながち間違いではなく、本やらノートやらその他のなんやかやが無造作に置かれ、積まれているのを、よく日曜日の午後に片付けている。

 今日もようやくここ半月ほどで購入した本を棚に仕舞った。気がつけばベランダのミニトマトは僕の顔ぐらいの高さにまで伸び、色がつき始めた実が出てきた。暑い暑いと言いながらクーラーをつけ、日にアイスを2個食べる。"夏の味"ツルムラサキを食べる機会も増えた。

 最終配本の頃には忙しさも落ち着いていればいいのだけれど……と、思うまでもなく、その頃はツール・ド・フランスの真っ只中で、日中の忙しさがどうあれ、毎晩多忙な日々が続いているに違いない。