6月16日|『水木しげる漫画大全集』を読む日々 vol.057

 知らない携帯電話の番号から着信があった。出てみると、ナントカという会社を名乗り、「ただ今、香川県の人に(何かの)サービスのご案内をしている」という。若い男の人の声だった。

 僕はもう香川に住んでいないので丁重に切ったが(香川の人ではないと伝えると「香川以外の地域の人にも同じ内容をご案内できる」と食い下がった)、この携帯番号の契約は確かに香川で結んだものだ。どこで何があったのかはわからないが、何かしらの経緯があって情報が漏洩しているのだろう。

 僕の知人は、実家を出て住民票を移した先で、20歳になる少し前に成人式の着物の案内が届いたことがあった。状況を考えると、公的機関から漏れたとしか考えられず、これなどは、かなり気味が悪い出来事だった。


 個人情報の意図しない漏洩としては、FAXの誤送信というパターンも多い。

 僕の勤め先では、個人情報が含まれたFAXの誤送信が発覚した場合(つまり間違って送られた側から問い合わせがあった場合)、直接その家まで行ってお詫びをした上で、届いたFAXを回収するというルールがある。

 このルールが実際にどれだけ厳密に運用されているかは別として、そのくらい個人情報は重いもので、あやしげな業者に携帯番号と住んでいる地域がセットで漏れていたら困るのだ。


 以前勤めていた会社は、取引先との共用のシステムや、メールでのやりとりに加え、時代の関係もありFAXでのやりとりがまだ多く残っていた。

 職場では時々、取引先に対して「サイで送ってください」と電話で話しているのが聞こえてくることがあった。取引先とのシステムは数種類あり、僕が使ったことのないものもあったので、僕は「サイ」という僕の知らないシステムがあるのだろうと思っていた。僕もよく、システム名を挙げて「◯◯で打ってください」などと話すことがあった。

 あるとき、複合機の前で自分宛てのFAXを待っていると、取引先から部署の他の社員宛てのFAXが届いた。そういえば先ほど、その社員が「サイで送ってください」と言っていた気がする。

 届いたFAXには、「再」の文字が、でかでかと書かれてあった。