6月6日|『水木しげる漫画大全集』を読む日々 vol.054

 先日の、なぜか「アンパンマンのマーチ」を口ずさんでいた"事件"を経て考えたことが、「日本で最もポピュラーなキャラクターはアンパンマンなのではないか」ということだった。もしアンパンマンでないとしたら、それはドラえもんになると思う。トトロ、ミッキーマウスはもとより、鬼太郎も世代を超えて知られているキャラだろう。しかし「最も」となると、まさに老若男女に知られているという点で、アンパンマンとドラえもんの2トップはカタいと僕は思う。


 ここ数日、星野源の「ドラえもん」を繰り返し聴いて、繰り返し口ずさんでいる。大丈夫、今回は気がついたら口ずさんでいたわけではなく、意識的に歌っている。

 「ドラえもん」はシングルながら今のところアルバム未収録で、シングル発売後に出たアルバム『POP VIRUS』にも入らなかった。先日、シングル曲をすべてiTunesに入れようと思ってPCに取り込み、聴くのが容易になって、それ以来ヘビーローテーションとなっている。

「少しだけ不思議な」というニクい歌詞で始まるこの曲は、口ずさんでいてすごく気持ちがいいし、聴いていると体が踊り出す。

 何度も聴くうちにクセになったのが、間奏(「ぼくドラえもん」(♪アッタマテッカテ~カ)のオマージュ)に続き、いわゆるCメロがあった後、最後のサビが流れるところだ。最後のサビの入りだけ、他のサビにはある「だから」という歌詞がない。これによって最後のサビだけ小節の頭の拍から歌詞が入ることになる(他の1番2番のサビは「だから」と入ることで弱起になっている)。この〈最後にあえて正面から受け止める感じ〉が、〈大長編の大団円〉を思わせてくれて、僕はまた、最初から最後までこの曲を聴き通すことになる。


 僕が一番よく見たドラえもんの映画は「アニマル惑星《プラネット》」で、そこから「ドラビアンナイト」「雲の王国」「ブリキの迷宮」の時期が僕とドラえもんの蜜月の時代だった。回数として突出(おそらく)しているのは「アニマル惑星」で、テレビ放送をVHSに録画したものを繰り返し見た。ツクダオリジナルのオセロとか、8分の5チップスとか、小僧寿しチェーンとか、子ども(自分も子どもだったわけですが)が鉄棒をする「♪うんとこどっこいしょ」のCM(ビスコ?)とか、カレーの王子さまのCMなんかがあったように思う。いくつかは当時の別の番組のCMかもしれない。

 VHSを見ることなんか、将来もうないと思う。HDDやブルーレイになって、遥かに画質は綺麗になったし、見たい場面を出すことも容易になったけれども、質的に上のものを知った結果、例えば画質が少し粗かったり、思い通りの場面をなかなか表示できなかったときなんかには、以前よりもずっと大きいストレスを感じているような気がする。寛大さがなくなったというか、〈あきらめ〉を失ったというか。

 思い返してみたら、僕は大学時代まではVHSを使っていた。テレビデオ(!)で、Gコード(!)を使って録画予約をしていたと思う。22世紀では、何にどうやってテレビ番組を録画しているのだろうか。そもそも「テレビ番組を録画」という行為そのものがなくなっていないかあやしいが、その答えは僕は見られそうにないから、ドラえもんに教えてもらうしかない。