二坪の王国

 模様替えが好きです。もっというなら引っ越しも好きだったのですが、いまでは荷造りを考えるとうんざりするほどの荷物の量になってしまいました。およそ本ほど引越しの妨げになるものはないでしょう。書庫でも作ってそこに本をぶち込んでおきたいところですが、そうしたら僕は書庫に住んでしまう気もします。

 昨年12月、模様替えをしました。この家に6年あまり住みましたが、これまでの模様替え歴の中でもかなり大掛かりなものでした。テーブル、本棚、ソファー、こたつを動かし、作業机の高さを変えました。僕が使っている作業机は、木の脚にガラス板を乗せたもので、脚の高さを変えられる造りなのです。

 今回、はじめてこの作業机を立って作業する高さまで上げてみました。床面から約94センチ。椅子に正座すれば座ってでも使えなくはないですが、基本は立ち作業を想定しています。座って作業をするとどうしても体が凝ってしまうので、その対策です。座っていても定期的に体をほぐせばいいのですが、ついつい長時間連続して作業してしまい、その結果として体がガチガチになるというのを幾度となく繰り返してきました。立っていれば体も動かしやすく、座っているよりはいいだろうと期待を込めました。

 いまのところ、おおむねその期待に沿った結果が出ています。立ち作業だとふくらはぎの負担は増しますが、トータルで見ると体の調子はいいです。足元に分厚いヨガマットを敷いたりして、居住性をアップさせています。

 高さを上げたことの副産物も大きかったです。作業机があった部屋には高さ80センチぐらいのCDラックがあったのですが、これを机の下に入れることができ、あとは場所を取る紙などの資材も収納することができました。その"浮いた"スペースに、リビングにあったテーブルを持ってきて、リビングにこたつを持ってきて……と玉突きで大きな家具移動が可能になったわけです。

 テーブルはいまやすっかり「座って使う作業台」として、「立って使う作業台」の隣に収まっています。あまりの使い勝手の良さに、この「旧リビング・テーブル」は、もうリビングに戻ることはないでしょう。

 半畳や一畳とはいきませんが、この二坪程度の敷地に、僕の王国ができつつあります。