熱気の生まれるところ

 昨日(4月10日)、下北沢のボーナストラックで開催された「日記祭」に出展しました。

 自分が売り子になって何かを販売するというのが実に久しぶり(5年ぶり?6年ぶり?)で、それが屋外というのは初めてだったのですが、なかなか刺激ある一日でした。


 よく晴れた暖かい、というか暑いぐらいの春の日曜日で、イベントがなくてもかなりの人出だったと予想しますが、そこにイベントが加わって相当な賑わいでした。僕のブースの場所が会場の端だったこともあって、わりに全体を眺めることができたのですが、お昼時の人の多さを筆頭に、常にわいわいしていたという印象です。老若男女、家族づれ、犬づれ……と本当に様々な人が僕の前を横切っていきました。

 ブースの場所が会場の入り口に近かったこともあって、会場(ボーナストラックの広場)を見たときのお客さんの最初の反応を目にする機会が多かったのですが、実におもしろかったです。生の反応を定点で眺め続けるという、ある意味で普通はできないことができたという特別な感じがありました。人のわくわくをたくさん眺められるというのは、ずいぶん幸福なことです。


 日記祭ということで、日記についていろいろと話をすることもできたのですが、すっかり自分では「当たり前」になっていたり、疑問にも思わなかったり、どうしてそうなったのか忘れてしまったりしたことが多いのだなと、新鮮な気づきが多くありました。「よく考えたらそれって不思議だよね」というような、「そういえば、そもそも」の話ができてよかったです。こういうことは誰かと話してみないと発見できないことです。

 あと僕はミドリカンパニーのノート類を愛用していて、日記帳、手帳、メモ、レターセットなどほぼすべてがミドリカンパニー社の製品なのですが、ミドリさんがブースを出していて、しかも近くだったので、愛用していることを伝えることができました。自分が好きなものを作者(メーカー)に好きだと直接伝えることって、伝えられる側も嬉しいと思うのですが、伝える側もけっこう嬉しいですよね。ついつい、いかに好きかという説明に熱が入ってしまったり。

 熱といえば僕のブースはもしかしたら全ブースの中で最も日照時間が長かったかもしれないのですが、こういうのも屋外ならではですし、ものを書く人間としては、話のネタになるから悪いものではないんです。気温も上がって暑かったですが、だからこそおもしろい、みたいなところはあります。日記にしろ違う文章にしろ、あるいは「書く」だけでなく「喋る」にしろ「描く」にしろ何にしろ、ピンチや逆境(と思えること)を昇華できる場を確保しているというのは、気楽に生きる一つの方法なのではないかと思います。


 このブログは、今回のイベントに出した本の準備が追い込みに入ってからしばらく休んでいたのですが、この日記祭の熱を浴びて、やっぱり書いてナンボだなと気持ちを新たにしました。久しぶりに気持ちがリフレッシュされ、書くことへの意欲があらためて湧くのを感じ、それだけでもイベントに参加した意味があったなと、帰りの電車の中で早くもそう考えていました(あと同じ帰りの電車の中で佐々木朗希が完全試合を達成したのを知ってぶったまげました)。

 荷物もずいぶん片付きましたし、また新しい「書くこと」に取り組みます。目の前には、ミドリカンパニーのノート。そして日記祭で買ったミドリカンパニーの万年筆。さて、次は何が生まれるだろう。