9月7日|『水木しげる漫画大全集』を読む日々 vol.066「こつこつ系とグラシン紙」

 この夏、近所の梨農家の直売によく通った。先日、いつものように訪れてみると、その日が今シーズン最後の営業だという。「今朝最後の収穫をした」という梨を3袋12個買って、保存方法を聞いた。

 キッチンペーパーで包んだ梨をさらにラップでくるみ、へたを下にしてビニール袋か食品保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室へ入れておくのがよいのだそうだ。一番ダメなのは裸のまま冷蔵庫に入れることだと言われて、身に覚えがあった僕は慌てて家に帰って梨を包んだ。

 こつこつ系の作業は嫌いではない。一つ一つ手を動かすことは、心を鎮めることにもつながる。確実に成果も出て、それが目に見える形で提示される。食器洗いとか、アイロンがけなんかも、こつこつ系の作業だと思う。はじめる前は面倒だけれど、終わったときの気分は爽快だ。


 以前購入してほとんど使わずにいたグラシン紙を引っ張り出して、何冊かの本にかけてみた。前回の話にもつながるが、誰かに貸す、あるいは誰もが手に取ることができるようにするために、もともとの表紙やカバーに、さらにカバーをかけたいと思ったのだ。これもこつこつ系で、やった数だけ達成がある。

 グラシン紙、あるいはそれに蝋引きしたパラフィン紙は、古本にかかっているのを時々見かける、薄い半透明の紙だ。古書店によっては並んでいる本すべてにかかっていて、そのときは棚一面がうっすらと白くなってなかなか壮観である。

 グラシン紙は薄いので、かけても表紙や背表紙が見えるというのがいいところだ。本の保護という意味では普通の紙でもいいけれど、不透明な素材だと肝心のタイトルが見えなくなる。ただ、グラシン紙も中が見えるとはいえ透明ではないので、もともとの表紙に薄くもやがかかったようになるのがデメリットともいえる。それが高級感を与えるともいえるが、特に凝った表紙の本などは、ちょっともったいない気もする。悩ましい、けれど考えるのは楽しいテーマだ。

 ちなみに、素材が何になるにせよ、カバーをかけるとそのぶんだけ厚みが増すので、本棚に収まる本の数は必然的に少し減ります。チリも積もれば、というやつで、けっこうバカにできない影響です。いや、ほんと。